妻は毎日出勤の前に僕に「お言葉」を求めます。
そして僕は耳元でささやくように「お言葉」をかけてあげるのです。
これが夫婦の日課になっています。
妻の職場は家の目の前にある介護施設です。
徒歩1分で通勤できる恵まれた環境なのに、出勤前はいつも憂鬱そうです。
仕事から帰ってきた後も、夫婦の会話の中心は妻の職場の不満です。
不満の内容を聞いていると、施設利用者に対する不満はほとんどなく職場で働いている人たちに対する不満ばかりです。
職場で働いている人たちとは、看護師、介護士で女性が9割近くを占めており、正社員、パート・アルバイトが混在しています。
ちなみに妻は看護師で、パートとして雇用されています。
妻の職場の不満は、もう何百時間聞いたかわかりませんが要約するとこんなところです。
- しゃべってばかりで仕事をしない人がいる
- 自分が楽をしようとして手を抜く人がいる
- 自分で考えずになんでもお伺いを立ててくる
- 正社員のくせにろくろく働かない
- 仕事の仕方が雑
妻は若い頃、東京のある大学病院で看護師をしておりそこで毎日厳しいしごきを受けていたようで、仕事に対する意識は高いみたいです。
だから、ちんたら仕事をしている人を見ると許せなくなる傾向があります。
自分がパートで正社員と比べると給料も少ないのに、仕事の仕方や知識が自分より劣っていることに納得がいってないようです。
もっと利用者さんのことをよく見て欲しい
これが妻が一番言いたいことのような気がしています。
給料は上がらないですが、事務長や他の看護師からの評価はまずまずのようでリーダーも任されているようです。
リーダーは当番制で回ってくるようですが、そのリーダーをやる日が妻にとって最もストレスが高まるようです。
そうすると、出勤前の「お言葉」のニーズが高まり、「お言葉」の重要度が増します。
「お言葉」はもともと妻の不満を聞いていて、僕なりに対処の仕方や考え方などをアドバイスすることから始まりました。
一時期は不満が激しく、仕事を辞めたいような話をしていた時期がありましたので、朝出勤する前に妻に対して前日に伝えたアドバイスをもう1度伝えていました。
それが妻の中でヒットしたようで、それからほぼ毎日「お言葉」を言うのが儀式になっているのです。
「お言葉」は妻の顔を見て思い浮かんだ言葉を即興で言います。
うまくいくと妻がうなずいてくれます。
うまくいかないと首をかしげて
「イマイチだなあ」
と言われます。
そう言われると割とショックを受けますが、そんなときは「お言葉」が浮かばず詰まったりしている自覚もあるのでしょうがないです。
今日も妻は出勤していきました。
リーダーでもないので割と機嫌の良さそうな表情をしていました。
「今日はいい天気だね、気持ちよく仕事ができそうだね。明日休みだから今日1日頑張ろう!」
これが今日の僕の「お言葉」です。
妻はまんざらでもなさそうな顔をして出勤していきました。
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